京成電鉄3500形

KEISEI-Series"3500"

 大榮車輛が送り出した最後の作品。

 京成3500形の延命更新のため原型を留めないまでに改造され、新造車同等の豪華な車輛へと生まれ変わった。ステンレス車ながら外板を張替えたり、乗務員室部分をまるごと取替えたりするなど、力を込めたあまりコストまで新造車同様になり数編成を更新したところで改造は中断。その後は3700形列や3000形列の新造に移った。またこの更新で電動台車の配置を変え先頭に持ってきたことにより京急線への乗り入れ運転もできるようになり、4両編成を貫通幌を用いて2編成つないだ8両編成が羽田空港~品川・都心方面を中心に活躍した。8両編成の組み合わせにはバリエーションがあり、純粋に2編成をつないだものから、4両編成を半分に切り離して中央に別の4両編成を挟んだ2+4+2の組成もあった。

モデル界では長らくグリーンマックスが未更新車をエコノミーキットとして発売しており、現在もほぼ発売当時のママなお生産が続けられています。その結果あてはまる動力ユニットが絶版になるということまで起きています。動力組み込みには『創意工夫』が必要です。

更新車はイエロータウンから金属キットとして発売されていますが、金属キット+ガレージキットメーカーということでそれ相応の値段で販売されています。

 

ということでさなえファインテックでは、エコノミーキットから改造することにしました。

このページではその製作記をご紹介します。

このごろマイクロエースから完成品として発売されてしまいましたね。

※注意

 近づいたのは雰囲気だけで、似ているとは到底言えません。

 『さなえファインテックなりのやり方』ということで参考程度にご覧ください。


前面の工作

グリーンマックスに入っているのはもちろん未更新車です。

モールドが細かく、発売から数十年経っているとは思えません。が、今回は使えません。

またそのうち未更新で作ってあげるから今日は許してください。


それでは整形してゆきましょう。

まずは前面に回っているフチと窓枠を撤去します。

ヤスリで撤去しようと思うとステップも一緒に無くなります。デザインナイフとかで慎重に削りとったあとに仕上げでヤスリを使いましょう。

フチが無くなったら窓を大きくします。

下辺の拡張の目安は前面帯モールドの下部あたりです。これを反対側の窓と貫通扉も行って下辺をその目安のあたりで揃えましょう。

さなえファインテックではケチりましたが、実車は更新の折で前面が角妻に変更されていますので、何れかの形で折ってあげるのも似せるためのアクセントになるかと思います。


そのあと尾灯を削り、お好みのライトケースをつければ前面は完成です。

側面の工作

側面で大きく違うのは窓まわり。

実車では3枚だったユニットサッシをひと続きの大きなものに交換されました。

加えて、前面の交換の絡みで乗務員室部分が新規で製作されたため、ビードレスのステンレスになっています。

というわけで、窓サッシを取り除きます。乗務員室直後は交換後も同型のサッシですが、交換後のサッシは窓ガラス側に再現したかったので同様に取り除きました。乗務員室部分は交換したら大変なので削ってビードを無くします。

一通り取り除いたら窓枠を1mmのプラ棒で設置します。若干太い気もしますが実車も大げさに付いているので見た目は特に問題ないと思います。ただこのとき何も考えてなかったのですが、1mmだとあとで後ろから窓ガラスを貼り付ける時に窓枠のほうが分厚くて窓ガラスが密着しません。直すのも面倒なのでここでは直していません。


側面もこれで完成です。

組み上げ

合いを確認しながら組み上げていきます。側面の乗務員室部分を削ってしまったのでそこだけ調整が必要ですが、もともと合いの良いキットなので大きく直す必要はありませんでした。

これではまだ、いまいち3500形と言われてもわからない気がします。

ちなみにライトケースにはグリーンマックス製京急1500形のものを使用しました。

このころちょうど京急1500形の顔を決めて交換していた頃でした。その交換された方です。

塗装

組み上げも特に問題なさそうなのでベースの塗装を施しました。

ボディはMr.カラーのシルバー、窓サッシも同じくMr.カラーのつや消しブラックを塗布。この黒色が3500形更新車の特徴なのですこし大げさにしてみました。なんとなくわかるようになってきました。

ここまで全く触れてこなかった中間車ですが、こちらも窓まわりをもちろん同じように改造しています。ちなみにどの車両にも側面には車外スピーカーが付いていますが、ビードを切り欠くのが大変なのでやめました。

屋上機器は製品のままで、まったく手は入れずに設置しています。モールドが甘いです。

そして帯の塗装です。

帯色がビードの上にあるしスプレー塗装だとハミだしそうだったので、マジックペンで書き入れました。ムラも含めて使い込まれている感がでてコレはコレでアリだと思います。

線を引く際は必ず定規をあてがって、一筆書きで入れるようにしないと大変なことになります。ささくれてるみたいになりますので。


帯色が入ってやっと京成電鉄の電車とわかるようになりました。感動の瞬間です。

ディテール

ほぼ完成したのでここからは見栄えのおはなし。

窓ガラスは前面をふくめ、全てGMの塩ビ板を使用しています。側面は前述のとおり水平方向の窓サッシを塩ビ板側に表現しました。こちらも前述のとおり、垂直方向の窓サッシのせいで密着していませんが直しようがなかったのでそのままにしています。

前面は開口した窓の大きさに合わせて塩ビ板を切り出し、フチにゴム系接着剤を少量付けて接着した上で黒色処理の部分を塗りつぶしました。

実はこのとき気づいたのですが、種車の未更新車でも更新車でも前面窓の黒色処理部分が違うだけで窓自体の大きさは同じのようで、完全に意味のない工作をしていました。

ロゴ・ナンバー・方向幕・列番はGMキットの各種京成ステッカーからそれっぽいのを適宜貼り付け。急行灯は京急ステッカーから急行灯部分だけ切りとって貼り付けています。

スカートは東武8000系のものを加工して取り付けてあります。

中間車も同様にディテールアップしています。


後退角がなくてなんとなくノッペリさんですが京成3500形に見えるようになりました。


京成3500形の特徴のひとつといえば台車です。

モハ2両1セット(ユニット)の中で台車ひとつ分だけ付随台車があり、台車の形が違っています。電動台車には阪急ミンデン(FS369)、付随台車は東武ミンデン(FS396/096)が似ていると思います。未更新車では先頭車両の運転台側、更新車は先頭車両の貫通路側に付随台車が設置されており、更新車は先頭台車が電動車または電動台車でないと入線できない京急への乗り入れにも対応しています。

当然グリーンマックスの台車を採用しましたが、付随台車には相当古い製品を使用したので、現行で販売されている製品とモールドも違えば車軸間の距離もこちらのほうが若干広いです。なかなか古いほうが立派で雰囲気が良いです。

屋上機器は全くと言っていいほど手を加えていませんが、現行の更新車を再現すべくシングルアームパンタグラフを設置しました。グリーンマックスのPT71Cが適合します。


完成

完成です。写真は完成披露展示会のときのものです。

工場で落成したのち、展示会までの試運転中に何度か変更がかかっています。

まずはスカート。東武8000系のものは細くて貧弱だったので、同じくGMのキハ45系用に取り替えました。今度はすこし太めですが、特徴的な顔つきは失われていないと思います。

つぎに表記類。富士川車輛工業製のステッカーが手に入ったので車番と列番表示器、方向幕をそれぞれ変更しました。

ちなみに3540編成は芝山鉄道所有となった編成ですが、実際に京成千葉線内で乗車したことがあるので千原線の行先にしてみました。自社線に戻らない出稼ぎ運用のほうが大半のようです。

おまけ

実車が芝山鉄道所属車になった暁にはラッピング電車となり『成田空港を宣伝する』任務が与えられたので、こちらさなえファインテックの3540編成にも同様のラッピングを施しました。素材はプレスリリース時の報道発表資料です。また上記の通り京成千葉線内で実車に乗れたので、そのとき収録できた緑色の社名プレートも貼り付けて完全に芝山鉄道仕様になりました。

なお芝山鉄道仕様にするときは、車両中央部の京成グループステッカーは貼付しないので気をつけましょう。




毎度長々と失礼致します。京成電鉄(芝山鉄道)3500形でした。

大榮車輛最後の傑作はさなえファインテックの傑作となりました。

ただいつも似ているかどうか不安になります。みなさまの目にはどう写っていますか?

もっとよく見ていただきたい気もしますが、残念ながらこれ以上見せると

「これで傑作なのかよ」って言われかねないのでこの辺で我慢しておいてください。


最後までしっかりと見ていただきありがとうございました。



2015/11/15:ページ公開

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