―工業地帯のちいさながんばり屋さん。

マイてつも!-国鉄クモハ12系 鶴見線

草生した線路によく映える電車です。

当時の大井工場で出会ったくらいなのでさなたん自身には特に縁はないのですが、

本やビデオでJR東最後の旧型国電として紹介されていたので好きな車両です。


グリーンマックス製が実車のロット違いの別タイプしか出しておらず、

モデル界では長年不遇の時代を過ごしたこの鶴見線用クモハ12系。

近年短編成の旧型国電を怒涛の勢いで製品化するKATOが漏らさず製品化しました。


今回はそのクモハ12系に室内灯を入れる話です。

正直言って長いです。

あと写真たっぷりで重いかもしれません。


考察

―室内灯なんてハメればおしまいでしょ。鉄コレじゃあるまいし。

まあ本来はそうなのですが、今回は集電シューのセッティングにコツが必要みたいだし、なによりここにTOMIX製の室内灯を差し込もうとしているからこんな仰々しいのです。

というわけで工場に投げられてたTOMIX室内照明ユニットの幅広タイプです。

KATOの室内灯にはシューの板が本体と別に付いているので、「それにこのバネをぶっ挿せばいいんだなー簡単だなー」と思っていました。

このときまでは...ね。

実践

思い立ったが吉日、ということで早速作業開始。

集電シューは室内灯側に付属しているので今回は工場内の在庫から拝借します。

北斗星用のオロハネ25です。室内灯が点かなくなって置き換えられた悲しい子です。

KATOは他社と差をつけるためなのか人気車両には軒並み室内灯標準装備だった時期がありました。そのころのやつです。

説明書に従ってクモハ12を分解。集電シューを取り付けました。

そしてその上からバネをぶっ挿します。バネの中に芯のようなものがあるのが気になります。

ついでに工場在庫のある室内灯は一通り入れてみました。どれも通電はしっかりします。

・・・が。

これ以上ボディが戻りません。引っかかっています。

...というのも、いまのKATOの室内灯は非常に薄型になっているため、TOMIXのような従来のプリズムの大きいモノが入れられなくなっているのです。特にモーター車なのでその障害は顕著です。

昔の大きな電球の室内灯はどこへ行ってしまったんだ...

加えてこの車輛は重量に不安があるらしく、天井裏に貨車などで使うであろう大きなウエイトが入っています。

近年のKATOの動力ユニットはフライホイール搭載によるモーターの小型化が進んでいるし、17m級でダイキャストブロックも大きく出来なかったからなのでしょう。このおかげでボディ側にも結構な重さがあります。

ならばこれで...①

なんか床面の集電板に開いてる所があったのでそこにバネを切り詰めたものを設置。

これで室内灯は復帰できなくなりましたが、本体には手を入れたくなかったので仕方なし。

だいぶ低くなりました...が、コレでもウエイトに当たります。

つまるところ、集電シューすら折りたたまないと室内灯がセットできないということなので、どのみち上の写真の集電シューよりプリズム上端がさらに低くなければダメということなのでした。ぐぬぬ。

ならばこれで...②

そんなうすっぺたいプリズムなんてKATO純正しか無いような気がしてきたので、あきらめて直接電球を挿してみることに。電球はさっき集電シューを拝借した北斗星に付いていたもの。

てっきり電球切れかと思ったらただの接触不良だったようで、単体で試してみたらぼわあっと灯りました。

プリズムも何も無いので当然ボディは戻ります。

ただプリズムがないので反対サイドまでは光が届きません。

なんか車内でロウソクでも焚いているのでしょうか。それとも非常灯でしょうか。

だんだん外が暗くなってきました。

もうゴールしていいよね…?

気づいてしまいました。

さっき入れてた工場在庫のコレ(写真は上のと一緒です)。

ちなみにこちらはホビーショップタムタムのPB『T.O.R.M(トラム)』の室内灯。F-Modelsの『Irumi』と並んで純正以外の他社室内灯ではトップクラスのシェアだそうです。

このままだと引っかかっておしまいですが、トラムの特徴はプリズムと基盤が分割できること。ということはKATOの室内灯クリアより薄くすることができます。

部屋の照明をつけました。

ハマっているだけなプリズムをパコッと外し、室内灯が狭幅タイプなので集電シューを内側に曲げたうえでできるだけ押し込みました。これで仕切り板兼用の両端のプラパーツの高さまで下げることができ、事実上の成功です。

だいぶ苦しみましたが、ゴールです。

ゴール

長々とお付き合いいただきありがとうございました。ゴールです。

トラムの室内灯はプリズムの形にかかわらずチップLEDが贅沢に等間隔に並べられているので、プリズムは無くても問題ありません。

乗務員室以外の室内が見事に光りました。乗務員室はひとつ上の写真のような仕切り板があるほか、ライトユニットが客室との間を完全に塞いでいるので光を入れるにはもうひと工夫必要です。運転中は進行後位(車掌が添乗している側)のみが点灯している場合がほとんどなので、室内灯よりライトユニットに工夫をして差し込みたいところです。

あとこのとき、ボディを戻したらなぜか写真のように片側だけ前照灯と尾灯が一緒に点灯するようになってしまいました。ライトユニットはボディ側にあるので、たぶん戻したときに接点がおかしくなってしまったのでしょうが、いつのまにか戻っていたので結局よくわかりませんでした。

まとめ

鶴見線は首都圏でも数少ないローカル線として南武支線とともに、近頃の工業地帯ブームに付随するような形で鉄道ファンだけでない多くの人に人気を集めています。

だからこそこのクモハ12形12050系列が205系や103系などに混じって今も走っていれば、『無機質な工業地帯を走る温かいチョコレート色の電車』としてマスコットキャラクター的にもてはやされたのかもしれません。

たださなたん的には205系の無機質さも工業地帯のそれによくマッチしていて嫌いではありません。


ちなみにここさなえファインテックでは、このクモハ12のほかに103系・205系をそれぞれ1本所有していて、鶴見線としては事足りる品揃えです。

発売後すぐに購入し、すぐに室内灯を取り付けて、荒川区にある鉄道模型店『モデル トランブルー』のレイアウトに持ち寄って運転会。という華々しいデビューを飾ったさなえファインテックのクモハ12でしたが、意外にも1番サマになったのは路面電車線部分でした。街の中を縫うようにノロノロと走って行く様子は、短い車体も相まって江ノ電のようなイメージかなと。

そんなKATOのクモハ12形はどんな風景にも似合うタンコロ車両です。街で覚えていたら手にとってあげてください。
きっと愛着がわくことでしょう。

長々と失礼いたしました。

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